すずめの涙


テスト中。
フードをかぶって、軽く耳を押さえ、君は、
「よし、これで集中できる」と満足げに言いながら、
鉛筆を動かしている。
頼もしくなったなあと、思う。



ケンカするほど仲がいい二人。
ある少年は、何やら針と糸を持ってせっせと何かをつくっている。
昨日、運動場で拾ってきた石のかけらを入れる袋を作っているらしい。
「先生、⚪︎⚪︎の誕生日、いつ?」
「これな、⚪︎⚪︎にお守りつくってるねん。
彼と出会えてよかったね。



理科。
大地の学習の中で、ある子が「すずめの涙」って知ってる?と尋ねてくる。
「知らない」と答えると、子どもたちに驚かれる。
砂の中によく混じっているらしい。
小雨の降る中、運動場にかけ出して行って、「すずめの涙」を探し当ててきてくれる。
おお、これが「すずめの涙」。
とても小さな、透明の粒だった。
「いつもなら、すぐ見つかるのに、今日は時間がかかったわ」と、言う。




わたしたちの日常。
ひとりひとりの手のひらから作り出され、手渡される。