ひかりへ

旭川
3年前には訪れることが叶わなかった場所を、いくつか訪れる。

旭川六条教会。
珈琲亭ちろる。
三浦綾子の暮らした場所。
氷点橋。
そして、2度目の三浦綾子記念文学館
外国樹種見本林。


ぐるぐると歩き続ける。
雨に降られながら、雲間から差し込む光を見ながら、夏の日差しに照らされながら。
夕暮れ、雨はあがったが、虹は見えなかった。




浄化だと思う。
浄化には、火によるものと、水によるものとあると言うが、
ここを訪れることは、水。
水による浄化。
私を流れる川の濁りを、清めてくれる場所のように思える。




文学館でひとしきりまた泣いて、
口述筆記を体験して帰ってきた。
『道ありき』を、どうしても読みたくなって、
家にもあるのにもう1冊買ってしまう。



帰りの飛行機と電車でぐしゃぐしゃに泣いて、読み終わる。



でも、全然、自分の中で説明がつかない。
説明のつかない涙。
3年前もそうだった。
何が私の心をこんなにも、こんなにも震わせるのか。
その訳を、私は説明できない。
それでも、彼女の文章の中にある何かが私をゆるし、救い、清らかにしてくれるように思える。




今、私が歩いている道とは、まったく異なる道が、あるのではないか。
そういう気がしてくる。
それは、心の持ちようひとつかもしれない。
光は、常に自分の隣にあるのだと。
その光の存在に気づけるかどうかは、私が、私自身の生を差し出せるかどうかにかかっている。
今年、シュタイナー学校で学んだ光と闇の実験が教えてくれたように。




三浦綾子さんの作品が私に与え続けてくれる光。
その光を自分自身の中に、大切に灯していたい。
消え入りそうになれば、
またここを訪ればいいのだから。
そんな安心感に包まれながら、
北海道をあとにする。



お世話になった方々、本当にありがとうございました。
とても、とてもいい時間でした。


外国樹種見本林。


旭川六条教会。


塩狩峠






文学館で書き留めた言葉。
1日が誕生日だった同僚に送った。
元気になってね。



帰り道。
空港で、何か変だな、と思ったら、
サンダルが壊れかかっていた。
雨の中、歩きすぎたのが原因かしら。
3年前の北海道旅行にも付き合ってくれたサンダル。
本当によく歩いた。
はき心地もよく。
ありがとうね。