あのころにもどりたい
ぽつんというきみに
どんなことばをかければいいだろう
あのころにはわたしもいる
わたしにとってもだいじなあのころ
でももどれないことをしっている
10さいのきみのこころにあるあのころ
わたしにあるいくつものあのころ
かさなったあのころにはもどれない
でも
かさなったということのよろこびを
ふかくこころにひびかせて
らいねんはこくごのせんせいじゃなくてたんにんにもどってねと
かわいいらぶこーるをもらって
みらいはわからない
でも
あのころには
もうもどれない
そんなことはつらくてくちにだせないので
わたしはいっしょにすごせてたのしかったじかんのことをはなす
あんなことあったね、こんなことあったねって
おぼえているあのころをありったけはなそう
さびしさなりやむまで
きみとはわらいのつぼがすごくあって
であうとほほえみがわきあがってくるなかで
わたしはきみのことをあまやかしてばかりで
なきじゃくるきみもかおをくしゃくしゃにしてわらうきみも
いとおしかった
さいごにうたったほしのおうじさまのみゅーじかるのうた
『輝く星(土井裕子)』
「さよならなんかじゃない
かなしいことじゃないのさ
であえたことがすべてさ
さびしいときはそらをながめて」
こんどきみがあのころのはなしをしたら
このきょくをうたおう
あのころも
そうおもっておわかれに
うたったんだよ
せんせいはあかるいところがいいねって
ほめてくれてありがとう
そうなんだ、そんなふうにわたしはきみにうつっているんだね
はじめてなまえをよんでもらえて
なんだかきょうはとくべつな日だった
とくべつで、それでも、ときのながれはざんこくで
それは、いきていくために、けっしてのがれられないいたみで
8さいのあのころは
きっとまだわからなかったね
いま、おとなにちかづいてきているきみは
そのいたみを、少しずつしっていく
こんどさびしくなったら
はなそうね
うたおうね
わらおうね
さびしさなりやむまで
わたしもそんなきぶんだから
ちゅうがくのせんせいから
13さいになるきみのこともきいたよ
わたしたち
おたがいにゆうきづけられていたね
あのころ
いまでもきみのしらせをきくとうれしいよ
かなしいことがあっても
きみならだいじょうぶ
やさしいぶん
きずつきやすいきみを
あのこがまもってくれるはず
やさしいひびが
ささえてくれるはず
はなれたところで
おうえんしているよ
おもっているよ