summer smells


初夏の匂いが巻き戻す時は、いつも同じ場所にたどり着く。
香しい二十代の記憶に立ち止まることはなく、
十五の心細さの中に、しゅんとおさまって動かない。
私の時は、進んでいるようで、止まっているようにも思う。
いつも気づけば、同じ時の中に佇んでいる。



消化するのにも整理するのにも、途方もない時間がかかる。
十代の記憶をいまだずるずるとひきずって彷徨っているくらいなので絶望的だ。
教材研究も、悩み続け、時間がいくらあっても終わらない。
この形にならなさに輪郭を与えてくれるのは同僚であり、こどもたち。
説明文の筆者の書きぶりの工夫を見破る、という学習で、
表現の工夫とその効果を整理していくのだが、本当に見事だと思う。
一人ひとりはパーフェクトでなかったとしても、クラス全員の意見がそろうと、到達できるところ、というのがある。
振り返りには、そのことへの感動がいくつも書かれていて、それでいいのだと思う。
来週は説明文ばらばら事件をしようと思う。
非連続テキストもばらばらにして遊ぼう。



4年生は、初めての学級会で、「最初だもん。うまくいかなくても大丈夫。1年かけて上手になろうね。」と言いながら、
私も1年かけて、リッパな国語加配になれるだろうか、と思う。
教材や資料を見ながら、先代の国語加配の方たちの遺産に、いつもひるんでしまう。
私には、こんなことはできない。どうしたらいいだろう。
とにかくslow workerで、時間がかかり、段取りもよくない。
教科通信も結局書けないままで。
ちょっとずつしか進めない。
背中を押して、と頼んでみる。
初夏の風に、頼んでみる。


何ページあるかわからない本。
既に、どのページを読んでいるかもわからない。
毎日、その本を持って行って、持って帰っている。



PTAの職員紹介。
難しい質問ばっかり。

動物に例えると?
わかりません。
「ひつじ」と書く。唯一、例えられたことのある動物のような。
よく眠るしね。


SATIE
大好な曲。
私の初夏の曲。
でも、エリック・サティは苦手。
途方もなく、さびしくなるから。
昔も、今も。