荒野


卒業式前、巣立ち行く人たちを見ながら、荒野だ、と思った。
彼らの行く先は。
そこに出て行くのだと思うと、それだけで涙がこみ上げて、
それでも、そこに歌があるように、言葉があるように、景色があるように、
強く生きていってね、と、願うばかりで。
小さく握手した。



今日は、桜が咲き、空は青く、風はあたたかく。
卒業式を終え、肩の荷が降りたのか、自分自身の笑顔がとても軽やかであることを自覚する。
でも、忘れない。
それでも、わたしたちの行く先は荒野だ。
人との距離は遠ざかるばかり。
孤独は増すばかり。
自分の小ささを思い知り、
世界の果てしなさに打ちのめされる。




夢みたいな歌。映像きれいすぎ。


そういえば9歳の頃、『荒野のバラ』という曲をピアノの発表会で弾いた。
「荒野」という名前にしては明るい曲だと思った。
その頃の私には、荒野は、名前に合わない印象でした。
「荒野」という響きと、「9」という響きが、不思議にしっくりときて、覚えている。
世界がまだ明るかった最後の夏。9歳だった。