砂漠が美しいのは

ある子を見送る。
雨の中、何度も何度も振り返って手を振るその子を。
「せんせい、ばいばーい」
離れたところから、そう呼ぶ姿を。
複雑な気持ちで見送る。


夜は、京都劇場へ。
音楽座「リトルプリンス」


点灯夫、キツネ、ひつじ、バラの花、飛行士、へび・・・
どれも、どこか、自分自身に似ている部分を持っている。
どの言葉も、どのシーンも、自分自身の人生のどこかの部分と惹かれ合う。



「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているから」


台詞を聞きながら、あの子の美しさを思い浮かべる。


地球でたくさんの花たちを目にし、王子さまが泣く場面。
その涙の訳が、なんだかとてもよくわかる。
よくわかる時が、きたんだと思う。


あの子にも、そういう時が来るだろう。
私にも、わからない時も、あったから。