夏にははじまりとおわりがあって


ひるむような雨が降り続ける。
この雨のせいで、近しい人が、涙を流した。


傘がなかったんだ。
ぼくの傘。
傘がない悲しみ。


最終日。
夏休み明けの自分へのメッセージを子どもたちに書いてもらう。


私は、私は、どんな夏休みの終わりを迎えるだろう。

毎年、この夏の初めを、なんとなく特別な気持ちで迎える。
夏はとりわけ好きというわけじゃない。
何か変化しなければならない、という、誰もが無言のうちに感じているであろう季節からのメッセージに加え、
年を重ねる前の静かな自分への問いかけが大きくなる。


夏。


教師になって10年目ということは、10回目の夏休み。
もちろん、2度目の人生の夏休みのような大学院の2年間があったのだけれども。



夜は、カフェで天井のシーリングファンを見ながら、ぼーっとする。
そして、夏休み明けの自分への手紙を、書いてみる。
短歌を31個、仕上げないといけない。



あまりの土砂降りに車から出るのも億劫で、しばし睡眠。
避難勧告のアラームで目覚める。
世界が、みんなが無事でありますように。

明日からは京田辺シュタイナー学校で3日間の講座を受ける。
私の昨年の夏、それからの1年を、ゆるやかにすっかり変えてしまった講座から1年ぶりの。



私の夏が始まる。
どんな景色を見て、どんな歌を歌うだろう。


くるくると 天井のプロペラ 視線つむ 君には見える? 夏の向こう側




この夏の始まりの音楽は、「旅人」。

「幾つもの昼と夜を越えて 幾つもの海と島を渡り 真の光を探し続け 彼の旅は未だ終わらず」
(作詞:宮崎吾朗 作曲:谷山浩子 歌:手嶌葵)