どの詩もその人のかたちをしていた

夜は《co-arc 夜間学校》。ゆるやかに企画をおこせる人になるワークショップ。1回目。
講師は上田假奈代さん。とても大好きで、尊敬している人。
今日は、「こころのたねとして」という聞き書き詩のワークショップ。ペアで、お互いにインタビューして、詩をつくる。「詩を社会化したい」という思いから編み出された手法ということ。

こころのたねとして―記憶と社会をつなぐアートプロジェクト (ココルーム文庫)

こころのたねとして―記憶と社会をつなぐアートプロジェクト (ココルーム文庫)


私とペアになった人は相談して、「人生は一冊の本」というテーマを選んだ。
「自分(自分の人生)を一冊の本」と想定して、「あなたはどんな本?」と質問していくというテーマを選ぶ。

自分という本、相手という本について、質問をする。メモをする。詩をつくる。

最後に、みんなで作った詩を朗読。
どの人の詩も、とてもとても素敵だった。
詩は自由で、人は詩のようだった。
ちゃんと、それぞれの詩が、その人のかたちをしていて。


私のペアの人が私の語ったことをもとにつくってくれた詩もとてもすてきで、
なんていうんだろう。うまく言い表せない。
これは、なんていうんだろう。


わたしも、その人に向けてつくった。
その人の語ったことをもとに作ったけれども、
それは、どこまでも、今日という日と、私という人が
滲む。
台風も、夜風も、強行採決も、迷いも決意も、
気づけば織り込まれている。
そして、どこまでも、誰かのための詩でもある。

自分のための詩でも、誰かがいないと作れないし、
誰かのための詩は、自分への救いになる。

この繊細な出来事が学びであり、癒しであり、教育であり、セラピーであり。

「自分のからだににじんでいるものが、とりだせたかな」と、假奈代さん。
この人の言葉は、なんということだろう、と、いつも圧倒される。
最後に假奈代さんが読んだ「盗み聞き詩」がまた、なんともいえず、あたたかく。

今夜のワークは、私のこの夏休みへの序曲という、そんな印象。

旅のおともは、「きらきらひかる」。
多分初めてあとがきを読んだら、すごくよかった。

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)


今日つくった聞き書き詩。
詩の朗読もした。
今日は、思いがけなく夢がかなった。
きっと、いい日だったんだろう。


社会も世界も闇に包まれ、うちのめされ、
それでも、言葉は、こころは、どこまでも自由だ。
わたしたちは、詩をつくり続けないといけない。
わたしたちは、歌い続けないといけない。
その自由が自由であるために。


『夜のベランダ』

君は今、おどろいただろう。
そのページのひらきにくさに。
まるでページが生き物のように
重く、反発し、先へ進むのを拒むことを。

それでも君はやめることなく
ページをめくる。

1ページ、1ページ ひらくごとに
少しだけ素直になれる気がするから。
悩みや先の見えない不安が少しずつ薄れてゆく気がするから。

すみっこに置かれたその本を
君はもう手放せない。

夜風がページをめくっていった。

夜明けの気配がするだろう?
(うね)