泣きじゃくって教室に帰ってきたあの子に、いろんな言葉をかける。
「どうしたん?」
「ここにはだれもいやなことする人いいひんから、だいじょうぶやで。」
「ここにいとき」
「クールダウンしとき」
あの子は泣き止んだ後、給食を食べずに本を読み、気持ちを落ち着かせている。
入れ替わり、立ち替わり、彼に近づいたり、近づかなかったり。
そうこうしている傍では、好きな男の子に体当たりで想いを伝える人あり・・・。
周りで「距離感、大事やで!」と、忠告する友人あり・・・。
色んな感情が共存している。
給食が終わり、昼休みが終わり、読書タイムが終わり、5時間目が始まり・・・
そのうち彼は、男の子二人がつくっておいてくれた梅ごはんと照り焼きチキンのまんまるおにぎりを、
ほおばっていた。
毎日は戦いであるけれども、
安心や救済もある。
小さな祈りたちが、
傷ついた戦士を、
そっと囲む。
ぼくらの感情、ぼくらの距離感。