大学院のゼミで、岡本さんが笑って話した。
「いや〜、女子会、一度参加してみたいですね。
でもね、ぼくが参加したら、その時点で女子会じゃないんですよ。
だから、女子会には、絶対に参加できないんです。」
ユーモアあふれる岡本さんの話に、わたしはいつも笑いっぱなしだったけど。
そんな話がふっと思い出される。
そう。それは真実を言い当てている。
参加したり、それに触れたりする時点で、
もう、思い描いていたものとは違うものになってしまうのだ。
先日、つくろうとした球のように。
触れると、それまで見ていた形は失われてしまう。
不完全だが、見守りながらその形を維持するのか、
そこに立ち入り、その形を壊してしまうのか。
唯一のものであるがゆえの、かなしみ。
同僚と『風に立つライオン』を観てきた。
あ、レディースデイ。
岡本さんは、笑って悔しがるね。
さだまさしの『風に立つライオン』。
アメリカ留学中に医者と宇宙飛行士になることを夢みる、大切な友人から教えてもらった音楽。
異国の地で深夜に繰り返し聴いた歌。
昔も今も、厳かで、清らかな何かが心を染み渡っていく。
映画は広くて、広くて、わたしは、自分の小ささを感じられたことに、泣きながら感謝した。