ひたひたと埋め立てられる海を彷徨う人魚のように。
苦しくさせるものは、せまりくるコンクリートというよりも、その揺るがなさの方かもしれない。
帰り道に見た月は、とびきり大きく、細く、光っていた。
アロエ。
アロエも泣くかしら。
小さい頃は、君のこと、キライだった。
玄関にいたよ、君は。
ケガをすると、君の腕を追って、つけられた。
とげとげしている君から滴るとろりとした液体を、「医者いらず」だと、
母や祖母は、わたしに塗った。
信じていなかった。ずっと。その非科学的な感じを。
治ってほしくなんかなかった。
私は、お薬や絆創膏が欲しかった。
アロエ。
今は、大好きな君。