Train Trainにのせて。

 今日は、生活福祉委員会で取り組んできた人権劇『このままでいいの?』の発表の日。

 「おはようタイム」という全校集会での10分の発表。

 子ども達と、シナリオ作りを行った。
 
 方法はこんな感じ。
 
 1本校の学校生活の中で問題意識を感じている場面を出す。
 2その場面を細かく描写する。
  例:どんな人がいるか、その人達はどんなことを話し、どんなことをしているか、なぜそんなことをするのか…
 3それをもとに脚本にする。
 4実際に脚本を読んだり、演じたりする中で、自分達流にどんどんアレンジを加えていく。
 5発表


 一応、担当教師の頭の中にあったのは、「善悪二元論」には、しないでおこう…ということ。

 いじめられる子の気持ちに寄り添うのはもちろんのこと、いじめている子の気持ちにも心を寄せて、「いじめは悪いからやめよう」という真正面からのアプローチ以外の方法を、考えさせたかった。

 北風と太陽だ。

 問題を起こす人に、正しさや厳しさでせまっても、相手は、抵抗し、身を守ろうとするだけ。両者の間の壁は厚くなる。
 
 まずは、彼らの心に寄り添うこと。正しさや厳しさは、ぐっとこらえて。どうしようもない優しさ。そこで、ふっと、心がほぐれ、解決の道が見えるのだと思う。

 さて・・・


 子ども達の演劇は、本当に、子ども達らしいものだった。

 特別上手なわけでもないし、感動させるものでもない。

 ただ、リアルだ。語られる台詞は、彼らの肉声であり、彼らの等身大の劇だ。

 劇を作る過程で、彼らが、自分達の学校生活を見直し、色んな角度でその描写の方法を考えたこと。よりリアルないじめの様子を描こうとする中で、いじめる側の心理やふるまいについて考えたこと。そこに、大きな意味があると思う。要するに、劇を作るということは、メタ認知の繰り返しなのだから。

 今回やってみて、ああ、やっぱり劇を作ることは、本当に大きな学びがあるのだ、と改めて感じた。

 子ども達は、実に真剣に取り組んだし、メンバーの顔つきが、どんどん変わっていった。

 4年生のときは、いじめられがちだった子が、今回は、いじめる側の役で、好演をするという場面もあった。今の6年は、私が初任者のときに受け持って、様々の思い出のある子ども達なので、彼らの姿ひとつひとつが、感慨深かったりもする。

 「え?この子にこんな豊かな表現がかくれているのか!」という驚きもあった。

 普段の学習の中では、見えてこない子ども達の個性や、能力が、「劇」という学び方によって、発揮される。

 そして、何より、劇を一緒に創る子ども達の関係が深まるのもいい。

 

 昨日のリハーサル。音響を頼まれていたが、効果音のCDに、いまいちピンとこなくて、自分でピアノを弾くことにした。

 入場と退場の曲、どうしようと思って、鍵盤に手をおいて、出てきた曲は、THE BLUE HEARTSの『TRAIN TRAIN』だった。

 リハーサルの様子を見て、人権担当の先生(人権劇の提唱者)が、「みんなの真剣な姿に涙が出そうだった」と言ってくださる。

 人権学習のまとめとして、劇に取り組む・・・我が校では、初めての試みだったが、子ども達の真剣で、楽しそうで、演じることが気持ちよさそうで、そして、終わったあとの、やりきったという表情を見ていると、ああ、もっと学校現場で、演劇を学びの方法として、取り入れていきたい!と思えたわ。

 さてさて・・・怒涛の1ヵ月も、今日の劇の発表で、一区切り。自分で自分にお疲れ様。忙しかったけど、本当に学び多き1ヵ月だったなあ。ひとつひとつの取り組みが、忘れられないものになった。

 関わってくださった、全ての方々に、感謝です。