ここではないどこかへ


 今日、学校を出るとき、ふっと春の匂いがしました。

 私は、次の季節の匂いにとことん弱い。

 「ここではないどこかへ行きたい」と、思っているせいかもしれません。

 私を、「ここではないどこかへ」と、連れ去ってくれる季節の匂いに、うろたえ、泣きそうになること、しばしば。

 でも、唯一、「今、この季節」を好きになれる匂い・・・それは「秋」です。金木犀の香る頃は、ずっと続けばいいのに…と思います。初秋から、11月後半にかけてが、一番好き。

 冬は春を想い、春は夏を想い、夏は秋を想い、秋は、秋に惚れます。

 

秋を愛する人は 
心深き人
愛を語るハイネのような
僕の恋人
 
 
 小学生の頃は、この『四季の歌』に出てくる、「心強き人」に憧れました。夏生まれやし。

 ああ、でも今は、「春」が待ち遠しい!春の匂いに、もう、心は全部持っていかれてしまいました。

 そうして、フラッシュバックする、様々の記憶達、音楽達。

 春が来れば、思い出す・・・
 
 もう1月も終わりなんだね。