夢めぐりゆく

 こんなに幸せなのは久しぶりです。

 ドリームコンサートが、終わりました。

 終わりのような始まりのような、どこかへと続いていくようなここにしかないような。
 
 関わってくださった、すべての方に心から感謝を申し上げたいです。


 
 
 子ども達、あなた達は、本当に幸せだよ。

 こんなにも君達のことを信じてくれてね、こんなにも君達のアイデアをおもしろいと思ってくれてね、こんなにも君達のことを考えてくれる人に、今まで出会ったことがあるかい?

 「〜してくれる」というのは、3名の音楽家にとっては、ふさわしくない言葉かもしれない。彼らにとっては、そおスタンスが当たり前のものだから。

 でも、学校現場にいる人間からすれば、3名の音楽家の子ども達との関わり方や創作の仕方は、本当に「ここまで子ども達のことを考えてくれるの?」という驚きに満ちたものである。

 自分がいかに、子ども達のことを適当に扱っているかが、よくわかった。

 きっと、子ども達はわかっている。言葉にはならなくても、身体のどこかに、「本当に一人の人間として、大切にされた」という感覚が残っているのだと思う。

 こんなにも素敵な人達に出会え、共に空間を共有できたこと、それは、本当に幸せなことなんだよ。

 

 
 本当にね、びっくりするくらい、心地よく、楽しい日だった。

 みんなに、「大変そうだね」って言われたけど、私は、全く大変だと思ってなくて、驚くほど、5日間身体が軽かった。

 楽しかったから、やりたいことができているから、夢があるから、子ども達が幸せそうだから・・・いっぱい理由はあるけれど、何よりの理由。

 それは、3名の音楽家の創りだす空間と音楽が、あまりに心地よかったからだ。

 同じ空気を吸って、私は軽やかになった。

 今日、コンサートの司会について、すごくプレッシャーもあって、「しゃべるのは、いや〜!」と思っていたけど、やってみたら、全然普通だった。びっくりするくらい。初めての感覚。
 
 あ、私、自然体だ・・・って、自分で言うのも変だけど、なんか、すごく、取り戻したという気分だった。

 「こうあらねば」「間違えないように」「きちんとやろう」

 そういうことで、自分を縛らなかった。すごく、自分らしくいられたし、自分らしく進行できたと思う。だから、すごく楽しくて、そのことがおもしろかった。

 3名の音楽家、そして、1年生の子ども達のナチュラル・レスポンス。お客さんのあったかさ。6年生のありのままの姿。

 そういうのが、全部空気として、自分に伝わって、自分もいつもになく自然体でいられたのだと思う。

 また、3名の音楽家との時間が、私にそういう感覚を養ってくれたのだと思う。

 人に会う、その一番の魅力は、言葉にならない感覚を共有したり、エネルギーを交感したりできることだと思う。

 今、私は本当に幸せです。

 野村誠さん、林加奈さん、ヒュー・ナンキヴェルさん、本当にありがとうございました。幸せでした。子ども達も、私も。本当にありがとう。平盛で、みなさんに会えた幸せを、心いっぱいに感じています。

 学校で、ドリームコンサートの実行委員として活躍してくださって、先生達。本当に支えられ、助けられました。色んな事を頼んでも、嫌な顔1つせずに、素晴らしい仕事をしてくださった。仕事には、想いがあらわれる。素晴らしい仕事には、先生達の想いがすごくこもっていて、めっちゃ嬉しかった。ちゃんと、先生達を音楽家の方々に紹介しきれなかったのが、すごく残念です。

 昼食作りを手伝ってくださったお母さん方・先生方。やっぱり、手料理ってあったかいです。すっごくおいしかったです。そして、みんなで食卓を囲めることの幸せを感じました。共に舞台を作るものが、共に食事をすることって、すごく大切やな〜って思った。ほんと、今日のあったかコンサートのエネルギー源でした。本当にありがとうございました!

 『芸術家と子どもたち』代表の堤さん。堤さん、そしてASIASの存在なくして、このコンサートはありませんでした。いつも、陰ながら活動を支えてくださって、本当にありがとうございました!

 今日、勤務の日ではないのに、準備・後片付けに応援に来てくださった先生達、本当にありがとうございました!「平盛の先生達は、本当に素敵だね!」と、色んな人に言われるのが、私はすっごく嬉しいし、誇りに思います。ヒューさんが、トークの中でほめてくださったのも、とっても嬉しかったです!笑

 そして、そして!今日のコンサートに来てくださったみなさん、本当にありがとうございました!『ドリームコンサート』を通して、色んな人たちが集って、同じ喜びや楽しさを共有できたこと、これは、本当に素晴らしいことだと思います。本当に、夢のような一日でした。ありがとうございました。

 お客さんの視線が、すごく暖かかったですね・・・。1年生の自由奔放さへのまなざし、6年生のはにかみへのまなざし・・・これは、学校教育における発表の場では、マイナスにとらえられがちな状態だと思います。でも、今日は違った。だから、私も、不完全であることに、嫌悪感を持たずに、自然体でふるまえたのかもしれません。

 もっと、もっと書いて残しておくべきなのでしょう。

 懇親会の席で、池田先生に言われました。最前列で活動を見てきた本人が残さなきゃって。そして、今、残さなきゃって。

 まだまだコンサートは終わっていません。夢の続きを、つむいでいきたいと思います。

 最後に・・・糸井先生。

 5年間のドリームコンサートのプロジェクト、本当にお疲れ様でした。

 そのうちの3年間を、一緒にさせてもらえたこと、本当に幸せに思います。

 去年、「藤原さんにまかせる」と言われたときは、本当に、どうしようと思いましたし、今回も、頼りっぱなしでしたが…それでもやっぱり、まかせてもらえたことで、すごく学びが大きかった。感動も大きかった。

 夢がある。いいですね。もう、先生の夢は、先生ひとりの夢ではないですもの。

 一緒に夢を描けたこと、この上なき幸せです。先生と出会えて、本当によかった。

 終わりははじまり。

 野村さんが、最後に、『ドリームというのは、未来のことだけれど、最後の曲を演奏しているときに、紙をばらまいていて、子ども達が1年生だったときのことを思い出した。まるで、過去に戻っているようだった』とおっしゃっていました。ああ、時代がめぐっていくんだな、と思った。今日、無邪気に紙ふぶきと戯れていた1年生の子ども達、それをあたたかく見る6年生・・・かつての1年生。
 
 5年という歳月。めぐり逢いと別れ。
 
 人生に感謝をしつつ、眠りにつきます。

 ありがとう。