ロンドンルポ その8 愛するために旅に出る。

ロンドン10日目。

 今日は、土曜日。ということで、ポートベローマーケットに行くと、決めていました。土曜日にやっている、蚤の市です。

 外に出ると、まあ!いい天気だこと!

 大晦日から、昨日までは、曇天だったのに、今日は、青空が広がっています!う〜ん、幸せ!

 バス停でバスを待っていると、お年寄りのご夫婦に、尋ねられます。「え?ポートベローに行きたいの?私もいくよ〜、一緒にいきましょう!」ということになりました。ロンドン、ちょっと慣れてきたね。

 ポートベローマーケットは、ロンドンで行った蚤の市の中では、ダントツに素敵でした。



 道には、ところ狭しと、アンティークを扱ったストゥール(お店)が。人もめっちゃいっぱい!色々、立ち止まって、見て歩くのが楽しいです。朝・昼兼用で、スタンディングでタイ料理。パクチーyum,yumです。

 それにしても、ロンドンの街並みは、素敵!!ミニクーパーが、いたるところに走っているけど、本当に、ロンドンの街に、よく似合いますね。

 建物がかわいい。壁の色がいい。外灯がシンプルで素敵。街並みに、どことなく、統一感がある・・・

 ショーウインドウも、カフェの看板も・・・うっとりするものがいっぱいです。

 でも、私は、日本が、大好き!我が家は、昭和テイストだし、畳でゴロゴロするのが幸せだし・・・もちろん将来は、縁側のある家に住みたい・・・でも、やっぱり、ヨーロッパの家々や、建物は、永遠の憧れだなぁと、思うのです。

 そんなことをぼんやり考えながら、ケンジントン公園へ・・・と思ったら、デモ。

 ガザへの空爆への抗議デモに遭遇しました。

 『FREEDOM FOR PALESTINE』

『STOP THE HOLOCOAST IN GAZA』

 『Boycott Israel Goods』 ・・・

 いろんな看板を持った人がひしめいている。


 初めて遭遇する光景。なぜだかわからず泣きそうになる。しばらく、その光景を見ていました。

 あたりは、続々とポリスが集まってきて、物々しい雰囲気。

 昨日、小鹿さんの日記から飛んで、以下の文章を読んでいたから、色々、思うことがありました。

はなれ「Attack on the GAZA」
http://hanareproject.net/hanaremedia/note/

 Think Globally, Act Locally...です。

 私のfighting Placeは、日本の社会。日本の教育現場。今、イスラエルパレスチナで起きていることを初めとし、世界のことを考えながら、自分の目の前の子ども達、まわりの人々を、まず幸せにできるよう、自分にできることをしていこうと思います。

 そうやって、生きていくと、決めた。私は、日本で、日本の子ども達のために、何かするのだ。

 アメリカに行って、そう思いました。

 アメリカのホームレス施設や、女性のためのシェルターで、ボランティアをして・・・そう思いました。

 大切なものは、一番近くにある。

 そう感じるために、そのことに気づくために、私は、遠くにいったのでしょう。

 ロンドンの地下鉄には、IKEAの広告があふれている。

 それには、こう書いてあります。

 『Home is the most important place in the world.』

 3年前、エリカとヨーロッパに旅に出たときの結論は、「旅は、帰るためにする。」でした。

 どうして、私は旅に出るのだろう。



 家が大好きなのに。

 きっと、家が大好きだから、旅に出るのですね。

 大切なものを、大切と正確に、十分に、感じるために。

 いろんなものは、相反しています。

 1番簡単なことは、1番難しい。

 愛するからこそ、嫌いになる。

 幸せだからこそ、不幸で。

 私の中には、常に、二つの感情が存在し、揺れ動いています。

 家にいると、閉じ込められているとさえ、思ってしまう。ああ、旅立たなければ、ここではない、どこかへ

 そんな思いに駆られます。

 で、旅に出ると、孤独です。

 帰るべき場所を、探している。

 その繰り返し。

 そうする中で、私は、あたり前の大切さに気づき、少しずつ、人生の意味を深くしながら、幸せになっていくのだと思う。

 中学生の頃、大好きだったドラマがありました。大好きなんてものではなく、自分の生き方のバイブルに近いもの・・・それは、『世紀末の詩』という、野島伸司原作のドラマです。

 そのドラマは、「愛とは」というテーマを、追求していくものでした。失恋したばかりの私には、かなりヒットなドラマで、毎回、涙なくしては見られないものばかり・・・ビデオにとって何回も見て、友達と、その内容を語り、本も何度も読み、サントラも繰り返し聞きました。

 そのドラマの最終話・・・

 主人公の野亜(竹之内豊)が、盲目のふりをして、観覧車にのっている絶世の美女と、「愛」について話すシーン。

 そこで、このドラマが、追求してきた、「愛とは」に続く、言葉が語られます。

 それは・・・

 「愛とは、冒険だから」

 絶世の美女のだんなさんは、冒険家で、愛する彼女をおいて、いろんな山に出かけます。しかし、山登りの間に、帰らぬ人となります。
 
 愛する人を失った悲しみ、また、自分のところに居てくれなかった恋人への恨み・・・それらが、女性を苦しめます。

 ・・・・

 とどまることが、愛ではない。

 同じ方向を見つめながら、時に離れ、互いの存在の大切さを感じることが、本当の愛。

 愛とは冒険・・・

 ・・・・

 ということで、私は、日本を、我が家を、そして、私のまわりの人々を愛するがゆえに、時に、離れるのでしょう。今も、そして、これからも。

 幼いころ、母が帰ってこないのが不安で、不安で、ふとんの中で心配で泣いてて・・・車のライトが見えたとき、体全体に広がる安心感・・・そうやって、離れ、不安になることで、愛は、育まれていくのかな、と思います。

 大好きなものとは、ずっと一緒にいないほうがいい、と思います。それが、大好きなものを、もっと、大好きになり、もっと大切にする方法。

 でも、一緒にいたいんだけどね!


麗美、僕の愛する麗美
ときどき君のそばを離れる僕を、どうか許して欲しいんだ
愛する麗美
君を愛するゆえに、僕は時に違う景色を見つめなければならない
僕がとどまることは、いつか愛そのものすら停滞させてしまうものだから
ああしかし一方で僕は、この肉体をなくしてしまうかもしれない
この山の頂きに抱かれて
それでも僕の魂は決して消えることはないだろう
いかに離れていても決して
麗美、僕の愛する人
僕の心をいつか、いつかわかって欲しい
たとえ僕が死んでも、魂が君に伝えてくれるはずだ
そして君もまた、僕だけのアンテナの中で捕らえてくれるだろう
僕は君のために、そして僕たちのために、時に離れる必要がある
どんなに今愛していても、その愛を守るために…

僕はもうすぐ肉体を死なせてしまうだろう
しかし、僕のことを許し、理解し、そして永遠に愛して欲しい
僕もまた君をそうするだろう
この肉体が死んでなお…
なぜなら愛とは…
唯一の真実の愛とは、互いの愛を確かめ合うための…
愛とは…冒険だから

世紀末の詩』 第11話より 野亜の台詞