ひらもりタウンをつくろう!

 今日は早起き。朝から、せっせと図工室の掃除やら、ダンボールの運び込みやら、用具の準備やら・・・。早起きは、仕事がはかどります。テンションが違うからね。

 さてさて!今日は『ひらもりタウンをつくろう!』の日。図工の授業です。京都精華大学のさいばくん・うえちゃん・くつちゃん・あゆみちゃんの4人、そして京都市立芸大のこうちゃんに来てもらいました。

 みんな、『しなリレ』で出会ったメンバーです。世界は素敵ですね。人生は、意図していなかったことろで、つながってゆくのですから。

 朝早くから来てくれて、色々、図工室の最終準備をしてくれる。窓や壁を養生したり、名札を作ったり・・・みんな素敵すぎ。

 そして、今日、びっくりしたこと、嬉しかったこと。

 それは、子ども達が、たくさん材料を集めてきていたこと。

 実は、昨日、初めてれんらくちょうに「明日の持ち物」を書かせた。

 「ひらもりタウン」のかんたんな説明をし、連絡帳に持ち物を書くように言うと、それはそれは真剣に写す。国語の時間にノートをとるのとは、全く違う、真剣なまなざし!

 そして、今日。自分で、またはお家の人と協力して、色んな材料を見つけてきていた。何よりうれしかったのは、これまで、そういった持ち物を、全く持ってこなかった子が、自ら用意をして、持ってきていたこと。ビックリ!ミラクル!うれしい!また、楽しみにしすぎて、登校班で来ずに、一人で朝早くに登校してきた子も・・・。子どもって、おもしろい。

 そんなこんなで、教師も子どももわくわくしながらむかえた4時間目。

 まずは、大学生の自己紹介。興奮気味の子ども達。


 活動はじまり〜!

 窓のペインティングは、こんなかんじ。水彩絵の具を使って。指で描いたり、筆で描いたり、ローラーで描いたり・・・!

 もくもくと作る。作る。作る。給食も、今日はかきこんで、続きをするためにダッシュダンボールハウス命になっている。
 

ダンボールに色をぬりだした。ミニローラーでころころ。筆でぬりぬり。これが、なんともいい感じ!みんな、大工さんになった気分かな。煙突もたって、本物のお家みたいだね〜。


内装も素敵よね。この子がこんな集中力!この子がこんな細やかな作業!

人間のほんの一部しか見ることが出来ていないと痛感する。驚き、発見の連続。子どものセンスにうっとり。日々の教科学習から、見えてくるものって、この何分の一?


 昼休みもつくり続け、後ろ髪をひかれながら掃除に行って、また戻ってきては、活動再開・・・!創作意欲は衰えることを知らない。図工室はカオス。


 ケンカも起こる。物もなくなる。当たって壊れる。壊れて泣く。縄張り争いもあり、一致団結もあり、できてはつぶれ、つぶれてへ、建て直し、描いては消して、消しては描いて!

 この状態がいい。誰も、どこかに導いてはいないのだけれど、この雰囲気、空間から受けるパワーを誰もがその人なりに感じ取って、感じ合って、また生み出してゆく。別に、計画があるわけじゃないけど、どんどんひらめくし、どんどん出来てゆく。ぶつかったりもするけれど、そのエネルギーは正しいエネルギーであるし、じっと待てば、仲直りするエネルギーにかわってゆく。

 大人が奪ってはいけないものに、気づかされる。「子どものため」というつもりで、教師の都合になっている色々なことがらにも気づかされる。

 ケンカをとめたら、仲直りする力を奪っちゃうんだろうな。

 自然治癒力を私は信じる。大人が薬だとすれば、良く効く薬なら、飲めばすぐに楽になって、みんな、それをほしがるんだろうけど・・・でも、その人の身体に生まれながらに宿っている自然治癒力は活かされず、結局のところ、評価されるのは、その「よく効く薬」なんだろう。
 
 私は、「よく効く薬」になろうとしているんじゃない?そうなりたいというのも、間違いじゃないけど、本当に私が目指しているものは、そうじゃないんだ。

 私は、子ども達の自然治癒力を信じたいんでしょう。そのためのきっかけやら、方法やらを探っていきたいんでしょう。

 人間は、苦しくなると、「よく効く薬」に頼ろうとするけれど・・・自分を鍛えるためには、自分の内なる力を信じなきゃね。大人も子どもも。

 図画工作のおもしろさを、また知りました。図工は学びあいなんだよね。だから、私、すごくほっとするん。教師が教えなくても、子ども達が、感じあって、作品を創っていく。でも、素材によっては、教えざるをえないものもあって、そういうのは、どうなんだろう、上手い・下手が出る作品になるんだと思う。

 今日、終わったあとに、カフェでスウィーツをいただきながら、こんな話をした。

 その場を楽しむという図工の時間もありだってこと。

 今日の図工の時間で、何も形になるものを残さなかった子もいる。

 でも、私は、その子が、図工の時間に何もしなかったとは思わない。形には残らずとも、色んな素材に触れ、それを楽しみ、何より、動き回りながら、あの空間を身体で感じていた。

 そういうのも、アリだと思う。

 でも、普通の図工の授業だと、そうはいかない。一人ひとつ作品が出来上がるというのが、ゴールになる。

 この、子ども達が、楽しんでいて、心躍らせた瞬間というのが、もう、この世の中の最高傑作なんだけどね。私は、今日の活動の中で、私が見たいと思っていた、子ども達の姿、表情を見ることができた。

 もっと言えば、朝、来たときから。活動の始まる前から。

 大人が誰も知らない、子ども達の内に眠るもの。大人が意図的にそれをうまいこと導き出すとしたら、それは、テクニック。子ども達が、活動に没頭して、自分でも想像しなかったものが、湧きだしてくる。私は、そういう瞬間を見たい。

 全ての教科が、図画工作のようになることは可能だろうか?

 創造的に、想像的になろうと思えば、図画工作化すべきだ。

 私は、もう、はっきりわかる。自分には、そういうものが性に合うってことを。

 最近、幼稚園の先生になりたくなる。子どもと遊んでいるときが、めっちゃ楽しい。もっと、この子達と、遊びたい。遊びをベースに学びたい。

 



 みなが去り、日が暮れたあとのひらもりタウン。マスキングテープで、道が出来た。これから1週間は、ここが子ども達の遊び場になる。思う存分遊んで、1週間後、さて、どうやってサヨナラしようか?

 明日、ひらもりタウンの未来を話しあおう。

 教室に大枝で買ってきた干し柿がつるしてある。昨日、その干し柿の話やら色々したら、今日、Rちゃんが、お家から干し柿を持ってきてくれた。おばあちゃんにもらったんだって。

 ありがとうね!給食のとき、みんなで一口ずついただきました。Hちゃんが「いえで、おかあさんにほしがき作ってもらおう」ですって。笑える。

 風と日光が必要ということで、教室の窓辺でゆられています。もう、美しいオレンジ色ではないけれど。


 ああ、素敵な一日だった!協力いただいた、大学生のみなさん、本当に本当にありがとうございました!

 子どもに共感しながら子どもと作る。
 
 空間に、アートを楽しんでいる人がいる、というのがすごく素敵だなぁ、と子どもと一緒に絵を描く後姿を見ながら実感。

 教師は、フォローにまわるから、一緒に楽しむってわけには、いかない部分も多いからね。

 感謝、感謝です!