totally not


シャープさの欠片もない日。
提出書類にはたくさんミスがあって、何度もやり直す。
子どもの書いてきた随筆の下書きへのコメントも、さえない。
そんな自分にため息をつく日。
何も前に進まない感じがする。


私はだめだめだったが、彼がさくらももこのエッセイを片手に、悩みながら文章を書ききる姿を見られて、嬉しかった。
大切な瞬間は、じわじわと、実感される。
もう君は大丈夫。
自分のことを語る言葉を手にし始めている。



ベランダの戸を開けると吹き込む風は冬の匂い。
ああ、この匂いを知っている。
それで、次はどうすればいいだろう。



「光を映す影」。
この曲を聴くと、いつでも2月の真ん中にいる気分になる。
音楽と匂いは、私を振り回すし、どこにもいけないようにそこに押し留めておこうとする。
それで、次はどうすればいいだろう。
抗うことはできない。
音楽と、匂いには。



シャープな言葉がほしい。
自分自身を傷つけても、先に進めるような。
古いものをざっくりと捨て去って、潔く季節を渡っていけるような。