霧の中のアリア

映画を一本。
映画としてはいまひとつだけど、歌われたアリアはよかった。

夜、大切な友人からの電話とオファー。
もちろん引き受ける。
こんな日が来ることを、10年前のわたしたちは夢見ていたけれど、簡単には描けなかった。

出会いの甘栗のこと、
一緒に眺めたオーロラのこと、
夜な夜な語り合ったこと、
ブルックリンブリッジで叫んだ言葉のこと、
ローマ階段で抱き合ったこと、
マケドニアに向かう漆黒の闇の不安のこと、
アテネで夜景を見たこと、
食べて食べて食べまくった九州旅のこと、
モンゴルにあなたに会いにいったこと、
ゴビ砂漠の星空があきれるほど笑ったこと、
お互いの恋と失恋のこと、
あなたがくれた、贈り物と詩のこと。

何を話せばいいだろう。

あの頃のようにあなたは愛にあふれ、ピュアなまま、素敵な母になった。
私は、やっぱり、自信のなさはそのままに、ゆらゆらゆれて、気まぐれに生きている。

4ヵ月、言葉を探しながら過ごすよ。
おめでとうとありがとうと、それでも生きるわたしたちに向けたメッセージを。