スズキの半年点検を予約していったのに、隣にあるダイハツで待っていて、ダイハツの店員さんを困惑させた。とぼけたことが続出の今日という日。
物置からいつのだかわからないネックレスが、からまったまま出て来た。
ごちゃごちゃとしている間にほどけたよ。今度、つけよう。
10年くらい前につくった詩も出て来た。
ずっと傍にあるもの。時々思い出すもの。
ときは流れ続ける。
『時計』
彼女は、50年前のタイルテーブル、それに時計がほしいといった。
そして、彼女は気付いていなかったが、
それは、僕自身だった。
「営業時間はあってないようなものですから。」
目の前の君が時計になる。
君は何度もぐるぐると部屋の中を歩き回り、
「明日も来るかもしれません。」
と言い残して、南へと帰っていった。
後には、夕立のあとの、美しい田園が広がって、僕は普段どおりの美しくささかやな幸せを眺めるんだった。
思い返せば、彼女に時計を渡したとき、僕は時計の針を止めなかった。
それは僕自身がまた、新しい時間を刻んでゆくことに似ていた。
待つものに時計はいらない。
僕の時計は今日から彼女の時を刻んでいる。