Gmailのフォルダに、「宛先なき手紙」というフォルダを作っている。
2005年、今から8年ほど前に作ったもの。
届けたいけど、届けられないメールや言葉は、そこにしまっておいた。
先日実家へ帰った。
実家の段ボール箱や本棚の中には、昔書いた文章や日記がいくつも積まれている。
それらも全て、宛先なき手紙だった。
けれども、宛先なき、というのは嘘で、実は宛先はあった。
ただ、届けなかったということ。
いつでも、文章に宛先はある。
どんな文章にも。
言葉が生まれるために必要な、宛先との間の闇。
聴くということは、うなづくことでも、肯定でも、yes,andでも、アイコンタクトでもないのかもしれない。
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/06/26
- メディア: 文庫
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明日から卒業随筆の授業が始まる。
随筆の文体を知って、自由になれる人がいればいい。
かつての私がそうであったように。