夕闇の世界


 三谷幸喜監督の映画『ザ・マジック・アワー』をDVDで観ました。

 まず、題がいい。

 深津絵里が、とっても魅力的!

 セットがおしゃれ。

 いっぱい笑って、幸せな気持ちになれるのは、三谷監督の作品の安心。楽しかった。

 
 『Magic Hour』と聞くと、思い出すことが2つあります。

 1つめ。

 江國香織さんの小説『デューク』のラストシーン。

 

デューク

デューク

 主人公の「私」の大好きだった犬のデュークが死んでしまい、泣きじゃくっていた時、美しい少年に出会います。そしてその少年と1日を過ごしますが、犬のデュークみたいに上手なキスをのこして、「うす青い夕暮れ」とともに少年は去ってしまうのです・・・

 この小説は、『つめたいよるに』という短編集におさめられているのだけれど、その解説で、『デューク』の「うす青い夕暮れ」とは、「マジック・アワー」のことだと書かれています。

 「マジックアワー」とは、映画の専門用語で、夕暮れのほんの一瞬のこと。太陽が地平線の向こうに落ちてから、光が完全になくなるまでのわずかな時間にカメラを回すと、幻想的な画が撮れると言われています。一日のうちで世界がもっとも美しく見える瞬間、それがマジックアワー。・・・映画『ザ・マジック・アワー』HPより
 

 『デューク』は、私が高校3年生のとき、センター試験の過去問をやっているときに、現代文の問題文として載っていた小説でした。

 もう、試験の最中だというのに、泣けてしまって、どうしようもなかった。

 大学生になってから、江國作品を読み出したのは、このときの出会いがきっかけです。

 そんなこんなで『デューク』には、特別な思い入れがあります。ずっと前に好きだった人も、デュークに似ていました。まあ、デュークというのは、犬なんですけどね。笑 犬好きとしては、もう、涙なくしては読めませんから。

 そして、そして、二つめ。

 キセルのアルバム『magic hour』。今、聴きながらブログ書いてます。

 

magic hour

magic hour

素敵なアルバムですよ〜。去年の今頃には、このアルバムのツアーライブに行きました。キセルの音楽の浮遊感、心地よさ、ひなたぼっこと、一人の休日に似合う具合が、すごく好きです。そして、どこかセンチメンタルなところも。

 このアルバムの6曲目に、『君の犬』という曲があります。これもね〜、犬好きに、たまりません。

 来週は、丹後に帰るので、うちの犬にも会ってこよう。快くん。散歩いこうな。15年前と同じように。

 ちなみに、softbankの「お父さん」と、名前も一緒で、見目形も結構似てるんです!元祖快くんは、うちの犬です!笑 かわいいでしょう〜?? もう、ぼけてしまって、私を見たらほえますけどね・・・。涙。

 

 そんな、マジックアワーをめぐるお話でした。いろんなことが、つながってゆくこと、つなげてゆくことが大好きな私。

 この写真は、今住んでいるアパートに引越ししてきて、初めての夏。つまり、初任者の時です。夏休み前、通知表をつけるのに苦しんでいて、気分を晴らすために、夕方、裏の土手に散歩にいきました。

 うちの裏には、木津川が流れていて、その堤防は、それはそれはいい感じの散歩コースです。

 その頃は、かなり病んでいたので、詩集持って、よく、どこまでいけるだろう…なんて思いながら、散歩しにいってました。

 そんなときにとった一枚。

 一日のうちで、もっとも美しい瞬間。

 最近、どんな日にも、美しい瞬間って、あるんだな、と思います。そしたら、毎日、全てが完璧でなくても、いいじゃんって思えてしまう。

 どこか、きらっと光る部分があるなら、OKじゃん、ってね。ん〜、お気楽すぎでしょうか。