はじまりのうた


新しい自転車との生活が始まった。

 どこへ行くのも楽しい。

 細い路地をすいすい抜けて

 坂道もかちゃかちゃ登る。

 木津川の堤防をどこまでもどこまでも

 桜並木の下を見上げて走ったり

 田園の風に吹かれたり

 交通渋滞とはさようなら

 自転車から降りると、じわりと汗がにじむ

 30分の通勤時間と、学校に着いたあとの心地よい疲労感。

 何か、自分の中の生きる力が、湧き出てくるような。

 私がエンジン。自転車は道具。

 私の力を引き出してくれる道具。

 そういうものに、なれたらいい。

 子どもたちの力を引き出せる存在に。

 そして、子どもたちお互いが、そういう存在になれたらいい。

 学年目標は、「ペイ・フォワード〜ハッピーを次に渡そう〜」。

 最高学年は、世界の幸せ、世界の平和について、学ぶ。そして、それを、自分たちの世界の活動に落とし込んでいく。

 初任者の頃に担任した子どもたちの作文が出てくる。

 はっとする言葉の数々。私は、彼らを愛していた。

 愛、愛、愛。

 「愛しい」と書いて、「かなしい」と読むと、

 聞いたときの衝撃。

 眠ります。